棺の中の故人のiPhoneを操作しながらの司会進行。
やんちゃっぽい弟さん(と言っても妻子ある、明るく好感の持てる男性でした)からのリクエストは、iPhoneのミュージックフォルダにある曲をBGMに適宜使用しながら進行すること。
結婚披露宴の司会で音響操作しながらマイクを握ることは皆無ですし、何よりコザックはこういう細かい操作に弱い!
ただでさえ弔問客が殺到し時間に段取りにと追われる中で、もう一つリスク要因を抱えるような心持ちであったのは正直なところです。
幸いコザック自身もiPhoneを使用しているのでその基本的な操作は分かり、ピンマイクで音声を拾いながら何とかこなす手筈はつきました。
4桁のパスコードがありますよね?iPhone。
操作していないと直ぐロックされてしまいますからその度に入力するんですが、弟さんから伺っていたパスコードは紛れもなく故人自身が設定したものに違いなく、生前一度もお会いしたことのない私がその方のiPhoneを操作しながら、故人の意思をそこに感じていました。
彼女はかなり長い年月、ツアーコンダクターとして世界のリゾートで精力的に仕事に励んでいたそうです。
ハワイにタヒチ、他の滞在先もご遺族から伺いましたがもうちょっと思い出せません。
しかし椰子の木が涼しげな海岸風景のiPhoneの待ち受け画像には、それで合点がいきました。
世界中を飛び回る極めて元気だった女性が、病床でどんな思いでその画像を見つめていたか…
胸が締め付けられます。
収録されていた曲は… レゲエだったかなんだったか、まさしく南国ムード漂う曲の数々に、確かマライア・キャリー。
日本のアーティストでは松田聖子に小田和正…
プライバシーの塊ともいえるスマートフォン。
故人のそれを操作しながら、さして余裕は無いながらも「明日の葬儀・告別式… 出棺の場面はこの曲だ」などと思いを巡らせながらの通夜の一日だった___ような気がします。
驚きのご縁が分かったのは翌日、即ち葬儀・告別式当日の朝、式場へ向かう満員電車の中で受け取った一通のメールでした。
<2017年記事 再録>
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