次の偶然も前エピソードと同じ5月。

キーワードも同じ「先生」です。 

この日は結婚披露宴ではなく、とあるホテルでの大学歯学部百周年記念式典及び祝賀会の司会でした。

そんな歴史的且つアカデミックな場ですからジョークを交える空気でもなく、元より台本がありましたのでその通りに淡々と進行していました。

式典は大学の、また歯科医療界の重鎮が次々に登壇し挨拶をされていました。

そうですね、年齢的には70歳は下らない方々ばかりです。

式典直後の祝賀会で___だったと思いますが、そこでもえらい人が次々に登壇し挨拶していらっしゃったんですが、その方々に比べればお若い… 50代と思しき男性が続かれました。

私はその後の段取りを幹事の方々と相談しながらだったこともあり、その挨拶をじっくり伺っていた訳ではありませんが、「どこかで聞いたことがあるようなお声だなぁー」と漠然と感じ、徐々に気になり出し、やがて「俺、この声絶対聞いたことがある!」と確信に変わり、「知ってる人だっけ?TVによく出てる人だっけ!?」と思い巡らしていたそのさなか「!!!… 」思い出しました。

台本に名前が記載されているだろうと台本を改めて見返してお名前を確認。

併せて急ぎ自分のスマホで連絡先リストを確認。

いずれにも、思い当たる方のお名前がありました。

その方は… 私が年に1~2回定期健診でここ十年来通う西新宿の歯科医院の「先生」だったんです。

 

ここまでお読みいただいて、いくつか「おかしい」とお思いになりませんでしたか?

MCコザックは司会者です。

その先生が挨拶される際お名前や医院名を紹介したのは誰あろう、このコザックです。

なのにそれらをご紹介の後すっかり忘れてしまっていて、台本を見返して初めて思い至ったんです。

人間の記憶ってこんなもんでしょうか?

あるいはコザックがアホなのか?

お名前や医院名といった固有名詞で思い出したのではなく、そのお声で思い出したんですね。

 

ところであなたは、通う歯医者さんの顔や声を覚えていますか?

歯医者さんは必ずマスクをし頭も覆っていますよね?

素顔を拝見する機会はあまりないと思います。

なのにどうしてコザックにはそれが「先生」だと分かったのか?

先生おしゃべりなんですね。

おしゃべりで、診療後相槌を打つ必要がありまじまじと相対しているうち、マスク越しのお顔も想像できるようになった___という次第です。

医院は忙しいんですよ、予約で先まで日程が塞がっていて。

しかし、診療中もその後もしっかり来院者に口腔内の状況を説明し、アドバイスする時間を11人の診療時間内に含めているんでしょうね。

分かりやすい説明でとても親切なんですが「先生… 先生の腕を信頼していますからもう結構です」と言葉が出掛けるくらい、微に入り細に入りとても饒舌なんです。

それですっかりお声が耳に馴染み切っていた、という訳なんです。

 

挨拶を終えた先生が降壇されてくるのを、ニヤッと笑顔で待ち受けました。

失礼ながらその時の先生のお顔以上の「鳩が豆鉄砲を食らったような」顔にはコザック、出くわしたことがありません。

「なぜここに… 」というお顔。

それで二度笑っちゃいましたねー。

先生はグリコのキャラメルです。

2度美味しい」。古ッ!

伺ったところ先生のお子さんが歯学部に在籍中だか卒業生だかで、挨拶は後援会長としてのものであり、ご自身もその大学の歯学部のご出身とのことでした。

以来、西新宿に定期健診で伺う楽しみが一つ増えました。

といっても年に12回のことですからその後まだ1度伺っただけですけど。

この広い東京で、首都圏で、得難い楽しいご縁でした。

 

<2017年記事 再録>