来るべき時間になっても、導師が式場にやって来ないんです。
これ、どういう意味だかお分かりですよね?
結婚式なら新郎か新婦どちらかが来ない、披露宴に司会者が現れない___に当たらずとも遠からず、です。
もとより仏式の葬儀の司式者は導師であり、言ってみれば司会なんていなくても成り立つんですね。
導師あっての真っ当な葬儀であって… これは前代未聞の事態です。
有り得ない不祥事です!
とりあえず… 我々葬儀を施行する側にできることは、遅滞ない真心込めた葬儀・告別式の進行を心掛けること。
寺への連絡は葬儀社社員に任せ、私は時間通りに導師がやって来ることを前提に前説を始めました。
昨日、喪主はじめ遺族から伺っていた故人のプロフィール・エピソード…
世界の幾つかのリゾート地で観光客をそのホスピタリティーで笑顔でもてなし、楽しいお酒が大好きで多くの友達に囲まれていたこと。
BGMに使用している曲は故人のiPhoneの収録曲であること等々…
しかし、開式の時間になっても導師は現れません!
さすがに司会で繋げられる時間にも限界があります。
「開式まで、恐れ入りますが今しばらくお待ちください」で導師の到着を待つしかありませんでした。
普通こうなるともっと不穏な空気が流れる筈です、いや!初めての経験ですけどね!寺が来ないなんて。
ところが、「おかしいなー」という皆さんの思いは伝わっては来るんですが、それでも辛抱強く、時に笑顔で待ってるんですよ。
喪主に状況を説明し詫びると、「あなたのせいじゃないですよ。坊主が悪いんだ坊主が」と、言いながらたいして怒ってないんですね。
喪家にとってはちゃんとした菩提寺で古くからのお付き合いはあるんでしょうが、それにしてもなかなか取れる態度ではありません。
コザックなんか、仕事を離れれば結構プライベートではカリカリしてるんですけどね。
(人間力高いなー、この家族)
そう感じずにはいられませんでした。
<2017年記事 再録>
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